クリスマスオラトリオツアー前編 -アントワープ、ブリュッセル、ケルン、アムステルダム公演-


今週・来週はバッハのクリスマスオラトリオのプロジェクトです。指揮はテノール歌手クリストフ・プレガルディエン氏。学生時代、バッハの宗教曲やロマン派のドイツ歌曲を勉強するときには必ずといって良いほど彼の録音を聞いていたものです。

コレギウム・ヴォカーレ・ヘントでバッハの作品が取り上げられる際は、初演当時の音楽様式に則り、ごく小さな編成でソリストも合唱パートを一緒に歌います。僕は今回テノールとバスの境目に立っているのですが、僕の隣りではバスのソリストのペーター・コーイ氏が歌っています。バッハ解釈のスペシャリストであるコーイ氏はバッハ・コレギウム・ジャパンでカンタータの録音を多数残しており、こちらも学生時代、バッハを勉強する際にしばしば参酌していました。


かつてCDを通してしか知らなかった人達と同じ瞬間、同じ空間で同じ音楽を共有する一時一時を噛みしめながらこのプロジェクトを過ごしています。

今日までで、アントワープ、ブリュッセル、ケルン、アムステルダムでの4つの本番を終えました。

12月12日 アントワープ DeSingel

12月14日 ブリュッセル Flagey

12月15日 ケルン・フィルハーモニー

12月16日 アムステルダム・コンセルトヘボウ


一昨日のケルン公演は大きなハプニングを乗り越えての本番でした。その前日がブリュッセル公演だったのですが、ブリュッセルからケルンへ団体移動するのに用いるはずだった列車が急遽運休となってしまったのです。しかもその運休が判明したのは前日の夜中。更に追い討ちをかけるように、その日に限ってドイツ国鉄、ベルギー国鉄のウェブサイトのアップデートが重なり、マネージャーもウェブでチケットを予約し直すことが出来なかったのです。最終的には翌朝になって個々に他の便に振り替え、ケルンでのゲネプロに間に合うよう全員が到着できました。このようなツアーでは移動、本番、宿泊、移動、本番、宿泊というタイトスケジュールに慣れきってしまいますが、このスケジュールが成立するのも飛行機や列車が定時に運行してこそなのです。日本とは異なり、ヨーロッパで交通機関のダイヤが乱れることは日常茶飯事。残りのチューリヒ、ゲント、オビエド、マドリードでの本番も滞りなく無事迎えることができますように。


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